『うえ松』が創業したのは、明治十五年。
高松市に鮮魚店を構え、あわせて瀬戸内海の新鮮な魚を使ったすり身を油で揚げたものを販売していました。それが今日の“讃岐天ぷら”の先駆けになったようです。
以来百二十余年の長い年月の間、初代から受け継いだ手法と伝統の味を大切に守り続けています。
魚本来の味を素直に活かし、簾(す)でひとつひとつ形を整え、手づくりで丁寧に仕上げていきます。
だから出来上がった天ぷらには、表面に簾の目が入った独特の形をしているのです。
「父帰る」「真珠夫人」などで著名な文豪 菊池寛は、19歳まで高松で過ごしました。実家は『うえ松』とも近く、よく店に立ち寄ったお馴染み様でした。今もそのご縁は続き、菊池家の方々は『うえ松』をひいきにしているそうです。菊池寛先生にとって、『うえ松』の天ぷらは故郷の懐かしい味。格別な思いを持たれていたのではないでしょうか。